36歳で長女、42歳で長男を出産したアラフィフライターのよんです。私には両脇の下に副乳(ふくにゅう)があります。
この副乳は腕の付け根にあるハミ肉に見えるので、ノースリーブが着られないというのが悩みです。出産後はそれだけにとどまらず、副乳が腫れてとても苦しい思いをしました。
ただのハミ肉ではない副乳とはいったいどういうものなのでしょうか。今回は副乳が腫れて痛む原因と、その対処法を紹介します。
そもそも副乳ってなに?
そもそも副乳とは何なのでしょうか?
副乳は退化しきれなかった乳房
副乳は、人間が進化する過程で退化しきれなかった乳房の名残といわれています。犬や猫など、哺乳類動物にはたくさんの乳房や乳首があります。
人間も哺乳類なのでもともとはいくつかの乳房がありましたが、進化の過程で左右ふたつの乳房の位置に収まっていきました。母親の胎内で、胎児の乳房はふたつを残して消えてなくなってしまいますが、まれにいくつかが残ることがあります。それが副乳です。
副乳は誰にでもある訳ではない
副乳がある人の割合は男性の1.5%、女性の5%といわれています。副乳ができる位置は人それぞれです。
ほとんどの場合、脇の下から正常な乳頭を通り太ももの内側に至る「ミルクライン」と言われる、弓なりの線上にみられます。また大きさや形状もさまざまで、ほくろと区別するのがむずかしいものから、年齢とともに膨らんでくるものもあります。
産後に副乳が腫れて痛む原因とは?
では、なぜ産後に副乳が腫れるのでしょうか。
副乳でも母乳が作られる
副乳は乳腺のかたまりのため、出産後にホルモンの影響を受け母乳が作られます。個人差はありますが、出産後およそ2~3日で母乳の分泌のために乳房が張り始め、それと当時に副乳も張ってきます。副乳には出口がないため、作られた行き場のない母乳が腫れの原因になるのです。
副乳には出口がない
副乳の乳腺には出口がありません。まれにほくろのような乳首がついている場合もあり、脇の下のから汗のように母乳がにじむことがありますが少量です。副乳で作られた母乳は2~3日で体内に吸収されます。そして副乳は出口がないとわかると、諦めて母乳を作らなくなります。
脇の下の副乳が腫れた体験談
ここで一例として私の体験談をお話しさせてください。
母乳が作られて体がむくみはじめた
入院中の産後2日目の夜のことでした。授乳の練習を終えて授乳室から部屋に戻り、オレンジジュースを飲みながら一息ついていると、上半身がだんだんむくみ始めるのを感じたのです。「これはまずい!」と慌てて左手の結婚指輪を外しました。「私はこのまま変身するかもしれない……」と思ったほどの急激な変化でした。
脇の下の副乳の大さはみかん大
苦しいながらもウトウトして目を覚ますと、胸全体がはち切れんばかりにカンカンに腫れ、脇の下も腫れていました。助産師さんに脇の下を見てもらうと「ゴルフボール…いや、卵…いやーこれはみかん大だね」と言われました。私の脇の下の副乳はみかんほどの大きさに腫れ、起きていても寝ていても腕を体に付けられないほどの痛みでした。
授乳もつらい…一人でボロボロに
そんな状況でも赤ちゃんに授乳をしなければなりません。カンカンに腫れた乳房を赤ちゃんに吸われると、悲鳴を上げるほどの痛みが走り、私はボロボロ泣きながら授乳をしていました。それはまるで、吸われる度に乳首から脇の下に針金が刺さるような痛みでした。副乳がある人は少数派なので、中には私があまりに苦しんでいるのを不思議がるママも。そこで脇の下を触ってもらうと「ゴロゴロしたデラウェアみたい…」ととても驚いていました。
副乳の腫れ・痛みを抑える方法
とてもつらい産後の副乳。腫れ・痛みを少しでも緩和させる方法をご紹介します。
対処方法は冷やすこと
腫れた副乳の対処方法は、冷やして痛みを和らげることです。脇の下を冷やす場合、保冷剤か漏れタオルを脇の下に挟むことをおすすめします。また衛生管理に注意が必要ですが、野菜(キャベツ)も利用できます。
方法その1:保冷剤を使う
脇の下を冷やす場合、硬い保冷剤は痛いので柔らかいゲル状の保冷剤を使いましょう。病院には硬い保冷剤しかないかもしれませんので、脇の下に副乳がある方は、入院グッズリストの中に柔らかい保冷剤を入れておくことをおすすめします。
直接肌に当てるとしもやけになってしまうので、ガーゼに包んで当てて、定期的に交換しましょう。
方法その2:濡れタオルで冷やす
冷蔵庫で冷やした濡れタオルを使うのも効果的です。タオルの大きさは、正方形のハンドタオル(25センチ×25センチ)かそれより小さめのミニタオルがおすすめです。使い方は、水に濡らして軽く絞ったタオルをビニール袋に入れて冷蔵庫で冷やしておきます。
それを直接脇の下に当てても良いのですが、服が濡れるのでビニール袋に入れたまま脇の下に当てます。こうすれば使う度に洗わずに済みます。
方法その3:野菜(キャベツ)で冷やす
これは副乳がある私の母から教えてもらった、キャベツ湿布という方法です。キャベツの葉の中に含まれる水分で冷やします。濡タオルより長時間効果があるので、寝る前に使うのがおすすめです。
芯を取ってよく洗ったキャベツをビニール袋に入れて、冷蔵庫で冷やしておきます。それを直接脇の下に当てます。生野菜にはリステリア菌が付着している場合がありますので、使用時には赤ちゃんや自分が感染しないよう、衛生面に注意が必要です。
副乳の腫れを乗り切る工夫
副乳の腫れは、母乳が作られ始めて2~3日で治まります。入院中に治まることがほとんどです。副乳が腫れている間の入院生活を少しでも快適に過ごす工夫をご紹介します。
ビニール袋で乳帯を作る
何を使って冷やすにしても、服が濡れてしまうのはイヤですよね。服を濡らさないためには、ビニール袋を使って簡単な乳帯を作るのがおすすめです。
大きめのレジ袋の側面をハサミで切って広げ、両腕の位置に穴を開けたら、そこに腕を通して胸の前で縛るだけ。乳帯がある場合はその下に使うとよいでしょう。
枕を両脇に置いて腕を乗せて寝る
副乳が大きく腫れている時は、腕を下ろして体につけることができません。横になった時も同じで、腕が脇の下に当たると痛いので、体の両脇に枕を置いて肘を乗せます。
あまり高さがある枕だとつらいですが、腫れた副乳に腕が当たらないので痛みは和らぎます。細長いクッションも使いやすいので、入院グッズとして持って行くといいでしょう。
水分・甘い物を取り過ぎない
副乳の腫れは、乳房の腫れより早くに治まります。とはいえ乳房が腫れると副乳にも影響があるので、母乳が出すぎない工夫も大切です。
現代は昔に比べて栄養状態が良いので、母乳のために何かを追加して食べる必要はありません。むしろ栄養の取りすぎは乳房が腫れる原因になるので、苦しい時は水分や甘い物を取り過ぎないようにしましょう。
まとめ:原因と対処法を知って手当しよう
産後に副乳が腫れるのは母乳が作られて、出口がないことが原因でした。解決方法は冷やすことで、腫れはほとんどの場合入院中に治まります。
また老廃物がたまりやすい場所でもあるので、日頃からストレッチなどをして、血液循環もよくしておきましょう。
赤ちゃんが生まれ、初めての事ばかりで大変な時に突然腫れる副乳。いつまで続くかわからない腫れと痛みにとても不安を感じますが、原因と対処方法がわかっていれば自分の状況を客観的に見ながら手当ができます。出口は必ずありますので前向きに頑張って乗り切りましょう。